ライソゾーム病について

ムコ多糖症1型、2型

Ⅰ型はα-L-イズロニダーゼ、Ⅱ型はイズロネートスルファターゼという酵素の異常により、どちらもムコ多糖という物質が蓄積することで発生する病気です。発生頻度は、Ⅰ型は約10万人に1人、Ⅱ型は約5万人に1人とされています。


生後すぐには症状は見られず徐々に症状がはっきりして、1~2歳頃に症状に気づき、診断に至る場合もあります。

主な症状

●低身長
●脱腸・でべそ
●肝臓・脾臓の腫れ
●心臓の病気
●発達遅滞
●繰り返す中耳炎
●関節が痛い、動かしにくい
●肝臓・脾臓の腫れ
●角膜混濁
赤ちゃん1
ファブリー病

ライソゾーム中のアルファガラクトシターゼという酵素の働きが悪くなり、全身のあらゆる細胞に糖脂質が蓄積する病気です。発生頻度は、 日本人では約1万人に1人とされています。

男性に発症すると言われていましたが、現在は女性でも発症することがわかっています。女児ではマススクリーニング検査が正常でも、思春期~成人期以降に発症することがあります。


主な症状

小児
●手足の痛み
●暑さに弱い
●腹痛
●皮膚の発疹
●汗をかきにくい
●発熱
●下痢


成人
●腎障害
●脳血管障害
●心障害
赤ちゃん2
ポンペ病

ライソゾーム中のアルファグルコシダーゼという酵素の働きが悪くなり、筋細胞のライソゾーム内にグリコーゲンという物質が蓄積する病気です。発生頻度は、日本人では約10~20万人に1人と されています。

筋肉の細胞に蓄積するため、主に骨格筋と心筋の症状が現れます。病型によって発症時期が違い、生後すぐに症状が現れるタイプから成人になってから気が付かれるタイプまでさまざまです。


主な症状

●筋力低下
●心不全
●呼吸障害
ゴーシェ病

ライソゾーム中のグルコセレブロシダーゼという酵素の働きが悪くなり、全身のあらゆる細胞に糖脂質が蓄積する病気です。 発生頻度は、約33万人に1人とされています。

けいれんなどの神経症状の有無、発症時期、病気の進行の違う3つのタイプがあります。


主な症状

●腹部膨満
●骨の痛み、変形、骨折
●斜視、口をあけにくい
●肝臓・脾臓の腫れ
●けいれん
●血液異常(貧血、血小板減少)

 

  • ライソゾ-ム病の主な治療は「酵素補充療法」です。不足している酵素を点滴で体の中に補充することで、蓄積された物質が分解され症状の進行を抑えることができます。直ちに治療を行う場合もありますし、お子さんの成長や発達などを見ながら治療開始時期を検討していく場合もあります。

  • スクリーニング陽性でも正常や治療の必要のないごく軽症の場合があります。また、検査で異常が見つからなくても、疾患が完全に否定されるわけではなく、後になって病気が判明する場合もあります。

 

監修 : 長尾 雅悦 国立病院機構北海道医療センター院長